複雑物体形状周りの流れは、非構造格子を用いた有限体積法や有限要素法により、詳細に数値計算できるようになり、またこれらの汎用コードもすでに数多く販売されている。しかしながら、これら手法を用いる際の問題点として、複雑形状周りの計算格子の生成に時間をかかることが上げられる。一方、差分法では、一般曲線座標系を用いても、複雑形状の取り扱いには限界がある。最近、物体の表面形状のみを生成し直交格子に埋め込んで計算する、Immersed
Boundary(IB) 法に関連した論文が数多く発表されており、今後のCFD計算手法の主流となりつつある。我々も、IB法に基づくたいへんシンプルな計算手法を開発した。物体形状は、市販の3DCGソフトで、簡単かつ短時間に作成することができ、これを計算プログラムに読み込むだけで簡単に計算することができる。
計算例
球周りの低レイノルズ数流れその1 球周りの低レイノルズ数流れその2
左から、球周り流れの瞬間等渦度分布(Re=300)、回転するファン後流の瞬間流速分布、ポルシェ周りの流線(粒子で可視化)
図をクリックするとアニメーションが見られますが、ファイルがかなり大きいのでご注意ください
参考論文
1. Satoru Yamamoto and Koichiro Mizutani, A Very Simple Immersed Boundary Method Applied
to Three-dimensional Incompressible Navier-Stokes Solvers using Staggered
Grid, 5th ASME_JSME Fluid Engineering Conference-San Diego, July 2007,
CD-ROM.
2. 水谷恒一郎,山本悟,簡単なIB法による三次元任意形状物体周り流れの数値計算,日本機械学会論文集B編,74-742(2008), 1347-1353.