惑星探査機や人工衛星の推進系として有望視されているMPDスラスターが、将来の利用に向けて研究開発されている。実験・計算の両面から研究されているが、我々は計算により研究開発するために新たな計算基本コードを開発した。MPDスラスターのプラズマ流を支配する方程式には、流れの方程式である圧縮性ナビエ・ストークス方程式に加えて電磁場を支配するマクスウェル方程式とオームの法則から導出された誘導方程式が広く使用されてきた。従来の数値解法では、流れに比べて電磁場の特性時間が極端に短い理由で、誘導方程式は流れの方程式とは独立に楕円型偏微分方程式の解法であるSOR法などの反復法により計算されていた。しかしながら、この方法では、収束解を得るまでの計算時間がかかってしまうという欠点を有していた。我々は、流れの方程式と電磁場の方程式を同時に解く方法を開発し、計算時間の大幅な短縮を可能にした(計算結果)。
山本 悟, 千葉史人, MPDスラスター粘性流れの高効率陰的差分解法, 日本機械学会論文集B編, 66(2000), 647-654.
Hironori Takeda and Satoru Yamamoto, Implicit Time-marching Solution of Partially Ionized Flows in Self-Field MPD Thruster, Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, 44-146 (2002), 223-228.
Hironori TAKEDA and Satoru YAMAMOTO, Numerical Investigation of Supersonic MPD Viscous Flows with Ionization, JSME International Journal, 45(2002), 97-101.