今日の電力供給の大半は、いまだ、火力、原子力そしてコンバインドサイクルなどの大型発電設備に頼っているのが現状であり、いずれにおいても蒸気タービンが発電のために使用されている。蒸気タービンの革新的な効率向上は難しいものの、仮に1%効率が向上すれば、現在世界中で使用されている台数から判断すれば、燃費の節約は膨大である。したがって、蒸気タービンのさらなる効率化はこれからも重要なテーマであるといえる。ところが、蒸気タービン内部流れは、以外にもいまだよくわかっていない。蒸気タービンの最終段付近では、タービン流路を通過してきた蒸気流の水蒸気が温度の低下に伴って蒸気圧も減少するが、それ以上に飽和蒸気圧も低下するため、結果的に水蒸気が凝縮して液滴に相変化する。さらに、発生した液滴によりタービン翼は腐食に伴う損傷を受け、また液滴自体がタービン全体の効率を悪化させていることが知られている。しかしながら、この液滴の発生は非平衡凝縮に支配されていることが示唆され、その凝縮の初生ならびに液滴の生成量の正確な把握は現時点では極めて困難である。結果的にこのことが蒸気タービン全体の性能の評価を難しくしているといえる。本研究では、凝縮を考慮した蒸気タービン翼列流れの計算コードを開発して、蒸気タービン内の非平衡凝縮メカニズムを解明し、最終的に蒸気タービン性能の向上に寄与しようというものである。特に、蒸気流の非定常性と非平衡凝縮との因果関係を解明するため、蒸気タービン静動翼列流れが計算でき計算コードを開発している。
2次元・3次元ノズルを通る湿り空気流れの数値計算例 1
2次元ノズルを通る非定常湿り空気流れの数値計算例 瞬間圧力分布
蒸気タービン最終段静動翼列流れのアニメーション(渦度+液滴の質量分率、圧力)
Satoru YAMAMOTO and Tadashi TANUMA, NUMER ICAL STUDY OF UNSTEADY GAS AND STEAM TURBINE CASCADE FLOWS, Proceedings of the International Gas Turbine Congress 1999 Kobe, I(1999), 489-496.
Satoru Yamamoto, NUMERICAL STUDY OF NONEQUILIBRIUM CONDENSATION IN UNSTEADY TRANSONIC VISCOUS FLOW PROBLEM, Proceedings of European Congress on Computational Methods in Applied Sciences and Engineering, (2000), 1-9.
Satoru Yamamoto, Computation of Practical Flow Problems with Release of
Latent Heat, ENERGY The International Journal, 30(2005), 197-208.
Yasuhiro Sasao and Satoru Yamamoto, Numerical Prediction of Unsteady Flows
through Turbine Stator-rotor Channels with Condensation, Proceedings of ASME
Fluids Engineering Summer Conference, FEDSM2005-77205(2005), CD-ROM.