高性能・高効率蒸気タービン最終段長翼設計(国際産学連携研究)

 日本における全発電量の約30%が原子力、約50%が火力で賄われており、いずれにおいても蒸気タービンが発電のため使用されていることから、蒸気タービンの性能は日本の全エネルギー消費に多大なる影響を与える。蒸気タービン性能は、原子力においては80%後半、火力においてはすでに90%を超えており、さらに効率を向上させるためには既存の実験的手法による技術開発ではもはや限界がある。蒸気タービンの高効率化は、最終段翼をより軽量・長大化することにより実現できるが、現在、最新の蒸気タービン最終段では翼端付近で局所マッハ数が2を越えており、さらに凝縮に伴って発生した液滴が斜め衝撃波と干渉する極めて複雑な流れになっているため、このような極めて複雑な流れは実験的手法では解明することが困難であり、数値解析によりはじめて現象を把握することが可能になる。ただし、この極限的な流れを解析するためには航空工学において築き上げられてきたCFD技術を超越した数値解析技術が必要である。一方、蒸気タービンの性能を1%向上させると近似的に1%の二酸化炭素排出量が削減される。日本における火力発電による年間電力量(1998年統計)は6080億kwであり、タービン効率を1%向上させることにより約160万トンの二酸化炭素が毎年削減できる。全世界の総発電量の相当部分を蒸気タービンによる発電に頼っているのが現状であり、蒸気タービンの高性能化は地球レベルでのエネルギー・環境問題の解決に即効性がある。
 我々東北大学と中国精華大学の国際共同研究グループは、(株)東芝・GEとの国際産学連携研究を通して上記流れを解析するための計算コードを開発してきた。本研究成果により、(株)東芝・GEグループは世界最長48インチスチール製長翼の開発に成功してタービン効率1%向上を成し遂げた。これは蒸気タービン1機当り年間約11000トンの二酸化炭素を削減 (経済効果にすると5億円以上を削減)する効果がある。

開発された蒸気タービン長翼

株式会社東芝プレスリリース

計算例 1