研究情報

 本計算数理科学分野では、自然科学や社会科学の様々な現象・事象から、数学的手法を用いて数理モデルを構築し、そこから得られる情報を数理科学的に処理する応用数理学の研究に主眼が置かれる。その中でも、計算機科学やソフトウエア科学と密接に関係した応用数理学の1分野である、「計算数理科学」研究を展開する。学際的・独創的な研究を展開するために、物理学、化学、生物学など複数の自然科学分野を融合した研究が必要不可欠である。計算数理科学は、最新のコンピュータ技術を駆使して、自然科学の現象から構築された数理モデルを解析し、その現象を仮想的に再現する研究を対象としている。

 山本・古澤研究室では、静的のみならず動的な複数の物理現象が混在した非線形問題を支配する数理モデル、ならびにコンピュータによる計算効率を最大限に発揮する計算スキームを構築して、その数理モデルをスーパーコンピュータにより大規模計算する研究を行っている。特に、空気や水の流れをコンピュータで数値計算する数値流体力学(Computational Fluid Dynamics, 略してCFD)の研究をさらに発展させて、複雑な物理現象を伴う熱流動を数値計算する「マルチフィジックスCFD」を研究している。現在具体的な研究テーマとして、ガスタービンや蒸気タービンを丸ごとスーパーコンピュータで計算することができる「数値タービン」や化学工学分野との学際的融合による「超臨界流体シミュレータ」などのマルチフィジックスCFD技術を研究開発している。これらシミュレーション技術は、高効率で高信頼な次世代の発電技術やエネルギー機器の開発、また化学工学分野で注目されている超臨界水や超臨界二酸化炭素を利用したナノ金属粒子やナノ高分子材料を創製する流体機器の開発に役立てられる。さらに、数値タービンをIoT技術に応用するため、AI技術を導入して数値タービンのデジタルツイン化の研究も開始した。

過去の研究

共同研究